<p>こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。</p>
<p>本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考において用いるバリュエーション手法のうち、DCF法について、その基本を解説します。</p>
<h2 id="0-前回のおさらい：バリュエーション手法の全体像" class="article-heading-second">前回のおさらい：バリュエーション手法の全体像</h2>
<p>前回の記事で紹介した通り、バリュエーション手法には以下のような種類があります。本記事では、実務での本格的なバリュエーションにおいて中心的な位置づけとなることが多いDCF法について、その基礎的な概念を説明します。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="バリュエーション手法の全体像" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/073e63c9-31b7-467d-bd7a-b9e331730dc0.png">
<p></p>
<h2 id="1-DCF法の概要" class="article-heading-second">DCF法の概要</h2>
<p>インカムアプローチであるDCF法の基本的なコンセプトは、「企業の生み出す将来フリーキャッシュフローの現在価値の合計」を企業価値とする、ということです。</p>
<p>フリーキャッシュフロー(FCF)とは、「株主及び債権者の双方に帰属するキャッシュフロー」であるとまずは理解してください。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="DCF法のコンセプト" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/9142ddee-5af8-46b2-9176-40f68d6db34a.png">
<p></p>
<p>具体的な計算としては、図の通り、①将来期数年間（一般的には5年）のキャッシュフローの現在価値と、②その後のキャッシュフローの現在価値を分けて考えます。これは、①がある程度精度高く予測できるのに対し、②は不確定な要素が多いことが理由です。</p>
<p>そして、①・②それぞれの将来キャッシュフローを現在価値とするために、割引率を適用する必要があります。これは「（資産運用を前提とすれば）現在保持している100万円は、将来もらえる100万円よりも価値が高い」ためです。</p>
<p>上記の説明を踏まえると、DCF法における結果に影響するドライバーとその算出方法は、以下の通りになります。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="DCF法のキードライバー" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/e313d644-ca0c-4943-9a7a-47bb4488ae1a.png">
<p></p>
<p>以上がDCF法の基本的なコンセプトになります。ジョブで使用しない場合でも、面接などで理解を確認される場合もあるので、押さえておきましょう。</p>
<p></p>
<h2 id="2-会員向け講座のご案内" class="article-heading-second">会員向け講座のご案内</h2>
<p>このように、本記事ではバリュエーションにおけるDCF法の概要を紹介しました。</p>
<p>外資系金融の投資銀行部門の選考は、経験と知識の有無の差が非常に出やすいです。</p>
<p>一方で各社で選考の差が少ないため、対策をしやすいのも事実です。</p>
<p>会員向けの講座では、より具体的なバリュエーションの算出方法の説明や、実際のワークを通じたアドバイスなどを行っています。</p>
<p>講座：全7回</p>
<p>講師：外銀IBD内定者・元外資系金融バンカー複数名</p>
<p></p>


前回のおさらい：バリュエーション手法の全体像,DCF法の概要,会員向け講座のご案内

こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。
本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考において用いるバリュエーション手法のうち、DCF法について、その基本を解説します。

【外銀IBD選考対策】バリュエーションの基本・後編（DCF法）

ESとは？,なぜ「外資ESの書き方」は特別なのか？,戦略コンサル・外資系投資銀行のESが見ているポイントとは？,ES設問別の書き方｜評価ポイントに沿った攻略法,よくあるNG例とその修正ポイント,本選考に向けたステップアップ,まとめ：ESは選考突破の入口、されど最大の関門

戦略コンサル・外資投資銀行の選考を突破するES（エントリーシート）の書き方を徹底解説。評価される構成・具体例・NGパターンとその修正法、インターンや本選考後にやるべき準備まで網羅。例文つきで実践的に学べます。

外資内定レベルのESとは｜戦略コンサル・投資銀行で通用するエントリーシートの書き方を徹底解説【例文あり】

<p>こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。</p>
<p>本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考において用いるバリュエーション手法の中でも、市場株価平均法・類似企業比較法について、基本的な考え方を解説します。</p>
<h2 id="0-バリュエーション手法の全体像" class="article-heading-second">バリュエーション手法の全体像</h2>
<p>バリュエーションとは、株式や企業の価値・価格を算定することです。バリュエーションの手法は複数存在しますが、全体像は以下の通りです。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="バリュエーション手法の全体像" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/29e83353-c957-4957-a5a8-440505cfab17.png">
<p></p>
<h2 id="1-インカムアプローチ" class="article-heading-second">インカムアプローチ</h2>
<p>実務において、案件の実行や検討段階において使用する腰を据えたバリュエーションで、最も重視される手法です。企業が将来的に生み出すキャッシュフローを推定し、これを元に現在価値を計算する手法になります。特に一般的な成長企業に対して用いられるDCF法は、会社によってはIBDジョブにおいても理解・使用を求められることがあります。IBDへの志望度が特に高い人や、M&amp;Aチームへの配属を希望する人は押さえておく必要があるでしょう。</p>
<h2 id="2-マーケットアプローチ" class="article-heading-second">マーケットアプローチ</h2>
<p>実務において、最もカジュアルかつ日常的に活用される手法です。その名の通り、マーケットデータを用いて、対象企業のバリュエーションを行います。</p>
<p>一般的なIBDジョブでのバリュエーションで、必ずと言ってよいほど使用を求められる手法です。概念を理解するだけでなく、自分で手を動かして使える状態になっておくことが理想です。</p>
<h2 id="3-アセットアプローチ" class="article-heading-second">アセットアプローチ</h2>
<p>保有資産を元にバリュエーションを行うアプローチであり、収益成長を見込めない成熟企業や衰退企業に適しています。ジョブで使用することは稀ですが、概念は理解しておきましょう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>本記事では、マーケットアプローチに区分される手法のうち、市場株価平均法・類似企業比較法について紹介します。</p>
<h3 class="article-heading-third">市場株価平均法</h3>
<p>市場株価平均法は、その名の通り、対象企業の株価の終値を参照して買収株価を検討する手法です。基本的には、長期での価格変動を織り込むために、複数期間（１カ月平均・３カ月平均・６カ月平均・１年平均など）を参照します。株価の乱高下がある場合は、その原因を特定し、バリュエーションに織り込むかを検討する作業も必要です。</p>
<p>なお、派生として、出来高（売買数量）を織り込んだVWAPという手法も存在します。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="市場株価平均法" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/07618762-f017-4848-80df-04a7bbbfdc64.png">
<p></p>
<h3 class="article-heading-third">類似企業比較法</h3>
<p>類似企業比較法は、対象会社の類似企業のバリュエーションを参照する手法になります。例えば、以下の図のように、類似企業の収益予測値に対する企業価値の倍率を計算し、対象会社の収益予想値に同じ倍率を当てはめることで、想定企業価値を計算するといった形です。</p>
<p></p>
<p>この手法における主要な指標は、以下の図の通りです。特にジョブでは、EV/EBITDAとPERを使用することが求められることが多いでしょう。算出方法や指標の意味を理解の上で、ジョブ中に計算できるようにしておきましょう。</p>
<p>この計算は当期純利益や営業利益などへの理解が求められるので、このような財務項目になじみがなければ、別途会計の基礎を学習しておくのがよいでしょう。</p>
<p></p>
<img style="height: auto;width: auto" alt="類似企業比較法" src="https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/alternative-images-prd/articles/images/d8a7a675-d493-4150-95a1-cd63faf95f91.jpg">
<p></p>
<p>このように、本記事ではバリュエーションにおけるマーケットアプローチ手法の概要を紹介しました。</p>
<p>次回の記事では、インカムアプローチであるDCF法についてご紹介します。</p>
<h2 id="4-会員向け講座のご案内" class="article-heading-second">会員向け講座のご案内</h2>
<p>外資系金融の投資銀行部門の選考は、経験と知識の有無の差が非常に出やすいです。</p>
<p>一方で各社で選考の差が少ないため、対策をしやすいのも事実です。</p>
<p>会員向けの講座では、より詳細なバリュエーションプロセスの説明や、実際のワークを通じたアドバイスなどを行っています。</p>
<p>講座：全7回</p>
<p>講師：外銀IBD内定者・元外資系金融バンカー複数名</p>
<p></p>


バリュエーション手法の全体像,インカムアプローチ,マーケットアプローチ,アセットアプローチ,会員向け講座のご案内

こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。
本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考において用いるバリュエーション手法の中でも、市場株価平均法・類似企業比較法について、基本的な考え方を解説します。

【外銀IBD選考対策】バリュエーションの基本・前編（市場株価平均法・類似企業比較法）

<p>こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。</p>
<p>本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考について、概要を紹介します。</p>
<h2 id="0-IBD選考の全体像とグループジョブの概要" class="article-heading-second">IBD選考の全体像とグループジョブの概要</h2>
<p>選考の全体像は以下のようになっています。ES・Webテスト・面接（グループ／個人）を経て、ジョブ選考が行われます。ジョブ選考は、日系企業のサマーインターン等とは違い、選考に直結する非常に重要なステップになります。これを通過すると、スーパーデイと呼ばれる最終面接を経て、内定となります。&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p></p>
<p>IBDのグループジョブも、他業界の選考におけるグループジョブと同様、学生５〜６人程度のグループに分かれ、１日～数日に渡るチーム内での議論を経て、最終日に発表するという形をとります。</p>
<p>IBDにおける課題の内容は、上記画像の通り、日本の大手企業に対する買収提案の作成というパターンが主流となっています。会社によっては買収／売却等の複数オプションから選択して提案しなければならないケースもありますが、課題の大枠は共通しています。</p>
<p>こうした買収提案の課題へのアウトプット作成にあたっては、大きく２点の問いに答えることになります。</p>
<p>１点目は、「どの会社を買収すべきか」です。いわゆるコンサルジョブなどと同様に、企業選定にあたってはロジカルに根拠を示す必要があります。一方で、ロジカルにスクリーニングを行った結果、（買収価格や株主構成等の理由により）買収できる企業が存在しないという場合もあります。あくまでも、買収可能な企業が存在する範囲でロジックを組み立てなければならないという点に注意が必要です。</p>
<p>そして答えるべき問いの２点目は、「その会社をいくらで買収すべきか」です。いわゆるバリュエーションと呼ばれるプロセスがこれにあたります。IBDジョブに特有の論点といえるでしょう。付随する問いとして、買収にあたっての資金調達方法も考えることになります。また、買収後の会社の財務状態の分析を求められることもあります。</p>
<h2 id="1-IBDのジョブ選考の流れ" class="article-heading-second">IBDのジョブ選考の流れ</h2>
<p>それでは、これら２点の問いに答えるアウトプットを作成するために、どのようにグループワークに取り組めばいいのでしょうか。</p>
<p>手順としては、以下のような作業の進め方が効率的とされています。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p></p>
<h4>1. 自社分析</h4>
<p>まずは、買収提案を行う企業の全体像を把握します。コンサルジョブなどと同様に、中期経営計画や直近の決算資料などを確認します。</p>
<p>買収提案にあたっては、過去のM&amp;A実績も見ておくとよいでしょう。</p>
<h4>2. 市場・競合分析</h4>
<p>こちらもコンサルジョブと同様、対象企業の事業における外部環境を確認する必要があります。市場規模と成長率、競合の状況や戦略などを調べます。</p>
<h4>3. 買収の目的策定</h4>
<p>１・２で得た情報を踏まえ、買収提案を行う事業領域を選定します。そして、その事業領域の中でも、具体的にどのような機能が必要なのかを特定します。</p>
<h4>4. 買収候補のリサーチ・選定</h4>
<p>３で買収の目的が確定したら、次はそれに合致した企業を探すことになります。まずは買収可能なサイズの企業の候補を幅広くリストアップします。このようなリストをロングリストと呼びます。</p>
<p>その上で、シナジーが最大化され、かつ買収可能性が十分にある企業を絞り込み、最終的に買収企業を決定します。</p>
<h4>5. バリュエーション</h4>
<p>買収対象企業が決まったら、買収価格の算定＝バリュエーションを行います。ここでは４で作成したロングリストも活用し、いくつかの手法を用いて価格を算定します。</p>
<h4>6. 資金調達スキーム策定</h4>
<p>買収にあたっての資金調達手段を考案します。基本的には会社の保有する現金と、不足分の負債調達という組み合わせが一般的です。</p>
<p>これに加え、買収後の財務分析などが課されるケースもあります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h2 id="2-IBDのジョブに臨むにあたっての注意点" class="article-heading-second">IBDのジョブに臨むにあたっての注意点</h2>
<p>プロセスの全体像が理解できたところで、グループジョブに臨むにあたっての注意点を２点紹介します。</p>
<h4>アウトプットは分担作業で、とにかく形にすることを最優先</h4>
<p>IBDのジョブにおいては、締切厳守で資料を完成させることが必須です。コンサルなどと比較して成果物が重視される傾向があり、たとえ内容がよく考えられたものであっても、資料全体が完成していなければ、評価が大きく下がってしまいます。</p>
<p>このため、アウトプットの作成にあたっては、適宜チームメンバーで作業を分担し、資料の完成度を高めることが重要になってきます。</p>
<p></p>
<h4>言動面は「人間的成熟度」のアピールに徹する</h4>
<p>IBDにおけるジョブ選考は、ロジカルさや専門知識のチェックはもちろんですが、人間性やコミュニケーション能力の確認という側面が非常に強いと言われています。このため、ハードスキルのアピールだけでなく、ソフトスキルにも常に気を払う必要があります。</p>
<p>このため、グループ内での激しい言い合いや高圧的な態度などは、例え自分の主張が正しい場合でも、出来るだけ避けることが無難です。グループのアウトプットが優れているほど個人評価も上がるので、グループのパフォーマンスの最大化を第一に考えましょう。</p>
<p>社員とのコミュニケーション時にも注意が必要です。部下として一緒に働きたいと思われる、謙虚で素直な振る舞いを心がけましょう。また、社員との壁打ちなどの際に、漠然とした質問をするのは禁物です。仮説を持った上で、必要な情報を引き出すようなコミュニケーションを取りましょう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>なお、近年は個人ジョブをグループジョブ前後に課す会社が増えています。この個人ジョブの詳細については、会員向けの投資銀行講座にて詳細を案内しています。グループジョブのより詳細な対策についても、会員向けの講座で解説していますので、是非ご参加ください。</p>
<p></p>
<h2 id="3-会員向け講座のご案内" class="article-heading-second">会員向け講座のご案内</h2>
<p>外資系金融の投資銀行部門の選考は、経験と知識の有無の差が非常に出やすいです。</p>
<p>一方で各社で選考の差が少ないため、対策をしやすいのも事実です。買収ロジック策定・バリュエーション・ジョブ対策等、複数回行います。</p>
<p>興味があれば、</p>
<p>講座：全7回</p>
<p>講師：外銀IBD内定者・元外資系金融バンカー複数名</p>


IBD選考の全体像とグループジョブの概要,IBDのジョブ選考の流れ,IBDのジョブに臨むにあたっての注意点,会員向け講座のご案内

こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門（IBD）の選考対策について特集します。
本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考について、概要を紹介します。

【外銀IBD選考対策】バリュエーションの基本・後編（DCF法）

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