【外銀IBD選考対策】ジョブ選考の概観を知ろう!
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こちらのシリーズでは、主に外資系投資銀行の投資銀行部門(IBD)の選考対策について特集します。
本記事では、IBD選考における重要なフェーズであるジョブ選考について、概要を紹介します。
IBD選考の全体像とグループジョブの概要
選考の全体像は以下のようになっています。ES・Webテスト・面接(グループ/個人)を経て、ジョブ選考が行われます。ジョブ選考は、日系企業のサマーインターン等とは違い、選考に直結する非常に重要なステップになります。これを通過すると、スーパーデイと呼ばれる最終面接を経て、内定となります。
IBDのグループジョブも、他業界の選考におけるグループジョブと同様、学生5〜6人程度のグループに分かれ、1日~数日に渡るチーム内での議論を経て、最終日に発表するという形をとります。
IBDにおける課題の内容は、上記画像の通り、日本の大手企業に対する買収提案の作成というパターンが主流となっています。会社によっては買収/売却等の複数オプションから選択して提案しなければならないケースもありますが、課題の大枠は共通しています。
こうした買収提案の課題へのアウトプット作成にあたっては、大きく2点の問いに答えることになります。
1点目は、「どの会社を買収すべきか」です。いわゆるコンサルジョブなどと同様に、企業選定にあたってはロジカルに根拠を示す必要があります。一方で、ロジカルにスクリーニングを行った結果、(買収価格や株主構成等の理由により)買収できる企業が存在しないという場合もあります。あくまでも、買収可能な企業が存在する範囲でロジックを組み立てなければならないという点に注意が必要です。
そして答えるべき問いの2点目は、「その会社をいくらで買収すべきか」です。いわゆるバリュエーションと呼ばれるプロセスがこれにあたります。IBDジョブに特有の論点といえるでしょう。付随する問いとして、買収にあたっての資金調達方法も考えることになります。また、買収後の会社の財務状態の分析を求められることもあります。
IBDのジョブ選考の流れ
それでは、これら2点の問いに答えるアウトプットを作成するために、どのようにグループワークに取り組めばいいのでしょうか。
手順としては、以下のような作業の進め方が効率的とされています。
1. 自社分析
まずは、買収提案を行う企業の全体像を把握します。コンサルジョブなどと同様に、中期経営計画や直近の決算資料などを確認します。
買収提案にあたっては、過去のM&A実績も見ておくとよいでしょう。
2. 市場・競合分析
こちらもコンサルジョブと同様、対象企業の事業における外部環境を確認する必要があります。市場規模と成長率、競合の状況や戦略などを調べます。
3. 買収の目的策定
1・2で得た情報を踏まえ、買収提案を行う事業領域を選定します。そして、その事業領域の中でも、具体的にどのような機能が必要なのかを特定します。
4. 買収候補のリサーチ・選定
3で買収の目的が確定したら、次はそれに合致した企業を探すことになります。まずは買収可能なサイズの企業の候補を幅広くリストアップします。このようなリストをロングリストと呼びます。
その上で、シナジーが最大化され、かつ買収可能性が十分にある企業を絞り込み、最終的に買収企業を決定します。
5. バリュエーション
買収対象企業が決まったら、買収価格の算定=バリュエーションを行います。ここでは4で作成したロングリストも活用し、いくつかの手法を用いて価格を算定します。
6. 資金調達スキーム策定
買収にあたっての資金調達手段を考案します。基本的には会社の保有する現金と、不足分の負債調達という組み合わせが一般的です。
これに加え、買収後の財務分析などが課されるケースもあります。
IBDのジョブに臨むにあたっての注意点
プロセスの全体像が理解できたところで、グループジョブに臨むにあたっての注意点を2点紹介します。
アウトプットは分担作業で、とにかく形にすることを最優先
IBDのジョブにおいては、締切厳守で資料を完成させることが必須です。コンサルなどと比較して成果物が重視される傾向があり、たとえ内容がよく考えられたものであっても、資料全体が完成していなければ、評価が大きく下がってしまいます。
このため、アウトプットの作成にあたっては、適宜チームメンバーで作業を分担し、資料の完成度を高めることが重要になってきます。
言動面は「人間的成熟度」のアピールに徹する
IBDにおけるジョブ選考は、ロジカルさや専門知識のチェックはもちろんですが、人間性やコミュニケーション能力の確認という側面が非常に強いと言われています。このため、ハードスキルのアピールだけでなく、ソフトスキルにも常に気を払う必要があります。
このため、グループ内での激しい言い合いや高圧的な態度などは、例え自分の主張が正しい場合でも、出来るだけ避けることが無難です。グループのアウトプットが優れているほど個人評価も上がるので、グループのパフォーマンスの最大化を第一に考えましょう。
社員とのコミュニケーション時にも注意が必要です。部下として一緒に働きたいと思われる、謙虚で素直な振る舞いを心がけましょう。また、社員との壁打ちなどの際に、漠然とした質問をするのは禁物です。仮説を持った上で、必要な情報を引き出すようなコミュニケーションを取りましょう。
なお、近年は個人ジョブをグループジョブ前後に課す会社が増えています。この個人ジョブの詳細については、会員向けの投資銀行講座にて詳細を案内しています。グループジョブのより詳細な対策についても、会員向けの講座で解説していますので、是非ご参加ください。
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