【一から解説】「フェルミ推定」とは?求められる能力は?

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著者: AC Research Group

更新日:

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「フェルミ推定」とは何か

フェルミ推定とは

フェルミ推定とは、「日本にある電信柱の数は?」「日本の家庭用冷蔵庫の市場規模は?」というような、未知の数値を、知識や常識から論理的に計算することです。

世の中には、調査が難しくデータとして存在しない数値や、将来の予測が必要な数値がたくさんあります。そのような数値を簡易的でありながらも一定の妥当性をもって推定する際にフェルミ推定が用いられます。

近年ではコンサルティングファーム等の選考に用いられるフェルミ推定ですが、その考え方には選考だけでなく業務にも役に立つ要素が多く含まれています。

この記事では、就職活動におけるフェルミ推定からフェルミ推定の応用まで、一から解説していきます。

選考におけるフェルミ推定の目的と位置づけ

フェルミ推定の出題意図

フェルミ推定は”正解のない課題”を解く過程を見ることによって、受験者の思考力・コミュニケーション能力・計算力を測る手段の1つです。

選考においては序盤で課されることが多く、いわゆる”足切り”的な意味合いをもって課されることも少なくありません。

実際の面接では思考時間が2〜5分程度、場合によっては思考時間が与えられないこともあるので短時間で考え計算し分かりやすく伝えることができるかどうかを見極める意図があります。

フェルミ推定を課す企業の例

コンサルティングファーム・投資銀行・総合商社

選考フローにおける位置づけ

出題頻度が一番高いコンサルティングファームにおいては、選考フローがおおよそ以下の通りになっておりフェルミ推定はケース面接の一環として出題されることがほとんどです。

ES→webテスト→筆記/録画→ケース面接→ジョブ(インターン)→ケース面接→内定

例題と解説

例題

実際に戦略コンサルティングファームで出題されたことのあるフェルミ推定には以下のようなものがあります。

東京のあるカラオケ店の月間売上は?

日本のベビーカーの市場規模は?

日本における年間の宅配の総回数は?

では、実際に戦略コンサルティングファームで出題されたフェルミ推定を解いてみましょう。

Q.日本における振袖レンタルの市場規模を推定せよ(コロナによる影響は考慮しない)[戦略コンサルのジョブ後面接で出題]

解説

A.

まず市場規模を分かりやすい変数に分解します。

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

それぞれについて要素をさらに分解して考えていきます。

①年間利用回数=【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【振袖着用率(80%)】*【レンタル利用率(60%)】

②一回当たりの利用単価(15万円)

=360億円

※文末に詳しい解答を記載

面接におけるフェルミ推定で求められる能力

フェルミ推定で求められる能力は思考力・計算能力・コミュニケーション能力の3つです。

思考力

思考力は論理的思考力・構造化力・仮説思考力の3つに分けられます。

論理的思考力

論理的思考とは、物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考のことです。ロジカルシンキングとも呼ばれます。

この矛盾や飛躍のない、というのは”客観的に見て納得できる”ということです。論理的思考はフェルミ推定に限らず、あらゆるコミュニケーションをとる上で最低限必要な能力です。

構造化力

構造化とは物事を構成要素ごとに分解し、構成要素間の関係を分かりやすく整理することです。

フェルミ推定では、推定する対象の数値を適切な構成要素に分解し、それぞれに対して妥当な数値を置いていく必要があります。

構造化の仕方は無数にありますが、その状況に適した切り口で分解することが求められます。

後述する仮説思考などを用いて構造化の精度を高めましょう。

仮説思考力

仮説思考とは、情報収集や分析を実行する前に仮説(現在得られている情報から導き出される最も妥当な結論)を立て、最終目的や成果物の形を常に意識しながら情報収集や分析を行い、仮説の検証と修正を繰り返して最終的な結論に至るという思考方法です。

具体的な例としてよく取り上げられるのは研究です。研究者は実験をする前に仮説(実験結果はこうなるであろうという予測)を立ててから実験を行い、その仮説が正しいかどうかを検証します。もし仮説通りの結果にならなかった場合でも、そうならなかった要因の仮説を改めて立てた上で実験を繰り返します。

仮説思考は短時間で成果を出すうえで極めて重要な思考方法であり、実験を行う研究だけでなくビジネスの場でも重視されます。特に短期間で高い水準のアウトプットが求められるコンサルタントには必須の思考法であるため、面接でもこのような考え方ができているかどうかが問われます。

フェルミ推定では限られた時間の中で説得力のある解答をする必要があります。

仮説がない状態で問題を一から網羅的に考えていくと、時間が足りないだけでなく解答の精度も落ちてしまいます。解答中は常に、その問題の着地点(結論)を事前に想像しながら思考を深めるようにしましょう。

計算能力

通常フェルミ推定が面接で課される際には、計算は手計算で行うことが求められます。計算の早さや正確さは評価のポイントとなっています。

計算を早く正確に行うためには、数値計算を早く正確に行うだけでなく、計算する前の数値の置き方の工夫も必要となってきます。

コミュニケーション能力

フェルミ推定では思考力や計算能力だけでなくコミュニケーション能力も求められています

一般にこのコミュニケーションは軽視されがちですが、どんなに思考力や計算力が優れていようとコミュニケーションが十分に取れないと判断された場合は選考の通過は難しいでしょう。

フェルミ推定は、推定した数値とその数値に至った経緯を1〜3分程度で面接官に伝えた後、面接官とディスカッションをするというような形式で進むことが多いです。

ディスカッションにおけるコミュニケーションでは以下の要素に気を付けましょう。

①最低限の礼儀があるか

②自分の考えをを分かりやすく伝えられるか

③相手の発言の意図を汲めるか

④自分の仮説に固執せず建設的なディスカッションができているか

フェルミ推定の応用

フェルミ推定そのものの利用

フェルミ推定はただの数値遊びではなく、実際のビジネスでも役に立ちます。

①データを取るのが大変、もしくは取ることのできない量の推計

世の中にはデータを取ることが難しい量がたくさん存在します。むしろ実際に取れるデータの方が少ないとも言えます。

例えば、インターネットに「市場規模」として載っているデータも、業界大手企業の売上を合計した値を市場規模としているため正確な値が反映できていなかったり、そもそも求めたい「市場」の定義と合致していなかったりすることは多々あります。

そのような状況下でもフェルミ推定のような推論を用いれば十分に仮説が構築でき、プロジェクトを進めることができます。

「データを取ってから考えよう」「データが取れないから諦めよう」というのは前述の仮説思考とは真逆の思考であるため、そのような考えを強制するためにもフェルミ推定は利用できます。

②将来の数値の推計

ビジネスの場においては常に将来の数値を予測することが求められますが、その際にもフェルミ推定のように適切な切り口で構造化されたモデルは非常に役に立ちます。

「全体はどう変化するのか?」ではなく「どの変数がどれだけ変化するか?」というように状況をより精緻にとらえることができるため、推計の精度があがるだけでなく推計の調整や検証が可能になります。

フェルミ推定の考え方の応用

フェルミ推定に用いられる思考力は単に数値を計算するだけでなく様々な場面で応用することができます。

①論理的思考力

フェルミ推定を行っていると常に「その考えは論理的であるか?」と問われるため、おのずと正しい論理や主張の根拠を考えるようになります。論理的思考は自分の考えを深めるだけでなく、コミュニケーションにおける共通言語として重要です。

②構造化力

構造的にものごとを考えられるようになっていると自分の頭が整理され、それぞれの要素をより深く考えることができます。また、構造化された情報は他者に伝わりやすいため、コミュニケーションコストの減少にも役立ちます。

③仮説思考力

ビジネスの場では迅速な意思決定と高い問題解決能力が常に求められるため、仮説思考が求められます。

フェルミ推定は問題解決の縮図になっているため、短時間で高い成果を出す練習として適しています。

まとめ

今回は「フェルミ推定」とは?求められる能力は?というテーマで書かせていただきました。

フェルミ推定とは何か?選考における位置づけや求められる要素は何か?どのように応用できるのか?ということが少しでもご理解いただけていれば幸いです。

長文となりましたが、最後までご高覧頂きありがとうございました。

 

Appendix

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

それぞれについて要素をさらに分解して考えていきます。

①年間利用回数=【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【振袖着用率(80%)】*【レンタル利用率(60%)】

②一回当たりの利用単価(15万円)

=360億円

それぞれの数値について

【今年20歳になる人口(100万人)】【女性割合(50%)】について

振袖のレンタルというのは一般的に女性が成人式で着ることがほとんどです。もちろん成人式以外での着用や男性の着用も全くないわけではありませんがそのような例は推定全体の量に対して取るに足らない量であるとして無視します。

今年20歳になる人口はこの年代の人口が約100万人と覚えていてもいいですし、覚えていない場合は推定します。推定の例としては

日本の人口(1.2億人)÷平均年齢(80歳)=150万人(人口ピラミッドを想像してさらに精緻化するのもよい)

などと推定してもいいですし、例えばセンター試験を受ける人数などをたまたま覚えていた場合

センター試験の受験人数(50万人)÷大学進学率(50%)=100万人

などと推定することもできます。

【振袖着用率(80%)】について

振袖着用率=成人式参加率(90%)*成人式での振袖着用率(90%)

それぞれの割合はかなり高いことが想定されます。

【レンタル利用率(60%)】について

レンタル利用率を考えるには代替手段を考えます。振袖を着る方法は大きく

①レンタルする

②母親や祖母の物を着る

③購入する

の3つです。おそらくレンタルが一番多いと想定できます。一方で母親や祖母の物を借りる人や購入する人も少なからずいると想定されるので

①:②:③=6:2:2

とすると60%になります。

【②1回当たりの単価(15万円)】について

これは相場として知っていればそのままおいても大丈夫です。

相場が分からない場合は振袖の単価から推計します。レンタル会社の立場に立って考えます。

例えば振袖の平均仕入れ価格が50万円だとしたら、いくらでレンタルするのが妥当でしょうか?

3〜5年で仕入れ値を回収したいと考えると10〜16万円ぐらいでしょうか。もう少し精緻に計算するために管理費や修繕費、人件費などを考慮して考えても良いですが、ざっくり15万円ぐらいと推定できます。

さて、ここまで出来たらこれらの数値をかけ合わせると市場規模を推定できます。

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

①【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【A.振袖着用率(90%*90%)】*【B.レンタル利用率(60%)】*【②一回当たりの利用単価(15万円)】

=360億円

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