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ローランド・ベルガー キャリアデザインセミナー Partner Session 1st

ローランド・ベルガー キャリアデザインセミナー Partner Session 1st

PROFILE
株式会社ローランド・ベルガー シニアパートナー

T S

東京大学経済学部経済学科卒業、ノースウェスタン大学経営大学院(ケロッグ・スクール)アドバンスド・ビジネス・マネジメント・プログラム修了 コンサルティング歴20年超。企業再生支援機構MD、JVCケンウッド代表取締役副社長、日本電産専務執行役員などを経て現職。同時に、ギックスの社外取締役を務める
キャリア
企業研究
戦略コンサル
ローランド・ベルガー キャリアデザインセミナー Partner Session 1st

目次

EP1

答えは「創る」もの。旗を立て、仲間を集める

VUCAという言葉は学生の方もよく耳にするでしょう。答えが見えない、あるいは答えがない時代に入ってきたとも言われます。企業経営も同様です。安定的な市場環境であれば、2年後3年後何が起きそうかは一定程度予見できますし、準備もできます。 競合の取り組みから学び、過去の成功・失敗事例をお手本に戦略を立案することもできるでしょう。しかし、今はそれが難しい。企業経営の悩みはより高度になってきていると痛感します。将来が見えない、という漠とした不安は90年代と比べて圧倒的に強まっています。しかも、新興国の台頭に伴ってグローバル競争は激化する一方ですし、情報技術の進展は業界の垣根すら取り払いつつあります。まさにVUCA。 私が90年代に若手コンサルタントをしていた時代と、2020年になってこの業界に戻ってきた今とでは、企業経営の悩みのレベルは格段に異なっています。
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答えは「創る」もの。旗を立て、仲間を集める

EP2

答えは「創る」もの。旗を立て、仲間を集める

では、答えがない中で企業経営はどうしたらいいのでしょう?答えがないなら答えを創ろう、いうことです。未来は探すものではなくて創るもの。創造したい未来を決め、旗を立て、一緒に取り組んでくれる仲間を集める。そういった活動を自分から仕掛けていけるかどうか、が企業経営に強く求められているのです。 どこかに答えがあり、先行事例があり、ロールモデルがあり、それらを見定めながら自社はこうなりたい、と考えられるならラクですが、残念ながら企業経営にそんな道はもはや残されていません。いや、あったとしても、その道は儲かりません。新しい道を切り拓く勇気の先にしか大成功はないのです。 現在成長できている企業はみな共通してこの勇気を持っています。未来予測にばかり振り回され、熱心に答え探しばかりしている企業は成長しません。勉強すればするほどわからないことが増え、できない理由が見つかり、論理的に必然的に「様子見しよう」という結論に至ります。残念ですが、これが多くの企業の現実です。 創造したい未来を決め、旗を立て、一緒に取り組んでくれる仲間を集める。この「答えがないなら答えを創る」という発想は、企業経営だけでなく個人の人生設計にとっても大切です。 翻って、就職活動。漫然と先輩の話を聞き、インターンや面接を積み重ねるうちにやるべきこと、つまり答えが見えてくる、などと思ったら大間違い。その道の先に大成功はありません。「どうあるべきか」でなく「どうありたいか」を真剣に考えましょう。もちろん、決して簡単なことではありません。自分はどうありたいか、を思い切って超長期目線で考えてください。20年後30年後の自分はどうありたいかを想像してください。そこから逆算して、そのために自分は今何をすべきかを考え、勇気をもって一歩踏み出すことが大切です。 人気業界だから、人気企業だから、という他者目線や短期目線での選択は、大後悔に繋がりかねません。今の人気業界や人気企業は、必ず20年後30年後には凋落します。このことは歴史が証明しています。就職人気ランキングは、今後の凋落ランキングかもしれないのです。だからこそ、創造したい未来ありき。その未来に向かってどんな道が今の自分に必要なのか。ひたすら悩み、自分で意思決定しましょう。この行動様式こそ、VUCA時代の企業経営そのものなのです。
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答えは「創る」もの。旗を立て、仲間を集める

EP3

未来創造力を問われるコンサルティング業界

他社が何をしているか、ではなく、自社はどうありたいか、を突き詰める。コンサルティングという仕事もこの発想転換が求められています。 ​「会社の寿命は30年」と言われます。全くその通りで、30年もすれば業界自体の儲け方は一変します。電話をする、電子メールを送受信する、というコミュニケーションの基盤が収益の源泉だった通信業界も、今やサービスのプラットフォーマーです。そこにどんなサービスを乗せ、どう課金するか、が収益の源泉です。 コンサルティングファームも同様です。書店に並ぶコンサルティング業界本は、残念ながら業界の先端を表現していません。与えられた命題があり、データとファクトに基づいて問題解決を図るだけで食える時代など、とうに終わっています。我々自身の在り方が改めて問われているのです。 もちろん、市場を見て、競合を見て、自社の強みや弱みを分析して、ここで戦おうと決める。この手の戦略思考は、今でも基本のキです。でも、基本のキであるが故に、30年前と異なり、クライアント企業も日々これと格闘しています。コンサルティングファームの専売特許ではありません。 でもVUCAの時代、考慮すべき変数が爆発的に増え、その変化も著しく速くなりました。市場分析を重ねたところで市場の未来は見えてこないし、第一、市場の定義すら難しい。競合分析と言っても、そもそも誰が競合なのかすら不明瞭。思いもよらぬ異業種が明日攻め込んでくるかもしれません。いや、競合と捉えるべきではなく仲間と捉えるべきかもしれません。自社分析と言っても、強みが本当に強みなのか、弱みが本当に弱みなのか、むしろ真逆に解釈すべきかもしれないし、真逆にすること自体が戦略かもしれません。 更に言えば、近年はAI/機械学習、データアナリティクスの時代です。演繹的に考えるよりも、帰納的判断のほうが成功確率を高められるかもしれません。クライアント企業にとって、論理的な報告書やプレゼンテーションの価値は低減していく可能性すらあるのです。自動車業界は「100年に1度の変革期」と言われますが、コンサルティング業界は「30年に1度の変革期」。コンサルタントの価値とは何か、という当たり前の問いが改めてコンサルティング業界あるいは戦略コンサルティング業界に突き付けられている、と私は感じています。 どこのファームが戦略系だとか、どこが総合系だとかIT系だとか、30年前の知識に基づいて業界本を著す方々がいらっしゃいます。でもこの世界、もはやそんな枠組みで勝負していません。戦略系と言っても大規模なデジタル戦力を内包し、更にはデザインシンキングや広告サービス領域に進出するファームもあります。一方、かつての総合系は戦略コンサルティングファームの買収を進めました。戦略系か総合系などという分類学は、今日を境に忘れましょう。学生の方々は、不思議とこの手の話が大好きですが、企業経営者から見れば、ノコギリクワガタとミヤマクワガタの比較であって、要するにクワガタです、程度の話に過ぎません。 分類学を気にする暇があるなら、自分がどうありたいか、を真剣に考えましょう。30年後、コンサルティング業界そのものがクライアント企業から見放され、凋落しているかもしれない。我々はそういった危機意識をもって日々仕事をしています。皆さんも30年後に後悔しないよう、健全な危機意識を持ってこの業界に飛び込んでいただきたいと思います。
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未来創造力を問われるコンサルティング業界

EP4

ファームに入社するのではなく、活用する

どの戦略コンサルティングファームに入るべきかとか、中途入社すべきか新卒入社すべきかとか、そんなことが論点だった時代がありました。しかし、今やそれは正しい論点設定ではなくなりました。自分のありたい姿に向かって多種多様なスキルを身につけていくことが求められる時代です。主語はファームではなく自分自身です。どのファームに入社すればスーパーサイヤ人にしてくれるのか、という発想自体が間違っています。 自分のありたい姿に近づくためにファームを活用しましょう。ファームはスーパーサイヤ人育成機関ではなく、プラットフォームです。どうありたいか、は自分で決めるものです。創造したい未来から逆算し、暫定的にでもキャリア設計し、それにふさわしいと信じるプラットフォームを選択し活用する。そういう意識をもって、これからの就職活動に臨んでみてはいかがでしょうか。

EP5

欧州起源、ローランド・ベルガーの独自性

次に、そんな健全な危機意識をもった方々にとって、ローランド・ベルガーは魅力的なプラットフォームになり得る、という話をします。ローランド・ベルガーは1967年にミュンヘンで創立されたコンサルティングファームで、戦略立案領域を中心に仕事をしてきました。全世界に凡そ2,700名の社員がいて、35カ国に51のオフィスを持っています。 我々の特徴は、欧州起源ながら日本で存在感を持って活動しているという点です。もう少し踏み込んで言えば、3つの独自性を備えています。一点目は、株主である投資家や、投資家に雇われたプロ経営者からの業務請負の構成比が相対的に小さいという点です。この意味するところは、中長期目線での持続的成長を企図する戦略策定案件が多いということです。事業会社の経営に携わった人間として、私は決して短期収益改善の重要性を否定しませんが、常に中長期目線で企業経営者と対話することを心掛ける我々の姿勢は、クライアント企業から高い評価を得ています。 二点目は、企業文化の根底に、ピラミッド構造を感じさせない協調意識が流れているという点です。例えば、全世界のパートナーのメーリングリストには毎晩、「こんな業界にこんな提案をしようと思っているのだけど専門家がいたら是非知見を共有してくれないか」というやりとりが国をまたがって飛び交います。これは、私にとってかなりの衝撃でした。良い意味で、です。ナレッジデータベースを検索すれば良い、と考える向きもあるでしょう。ですが、この協調意識の高さがあるからこそ、強いグローバル連携が生まれ、クライアント企業からも高く評価されていることを日々実感しています。我々の強みとして維持したい企業文化です。 三点目は、クライアント企業の利害関係者全てに配慮する戦略策定を大切にしているという点です。株主だけでなく、従業員の視点、取引先企業の視点、地域社会の視点を大切にしたい。日本には、300年以上前から近江商人の「三方よし」という考え方がありました。今風に言うならCSV(Creating Shared Value)でしょう。そして、これは欧州企業にも通じています。ダボス会議で毎年公表されるランキングのひとつに「世界で最も持続可能な100社」というのがあります。欧州企業は凡そ半数を占めています。この背景にあるのもまた「三方よし」の考え方なのです。欧州起源のファームとして、クライアント企業からの我々に対する期待も高まっていますし、我々自身、欧州企業と日本企業の共通性を理解するファームとしての差別性を強化していくつもりです。 また、この思想は必ずしもクライアント企業に対してだけでなく、社員に対しても同様でありたいと考えています。中長期目線で社員の持続的成長を支えるプラットフォームでありたい、ということです。画一的なキャリアパスに沿って進むことを強制するのでなく、自分のありたい姿に向けてローランド・ベルガーというプラットフォームを活用して欲しい。そんなWin-Winの関係を築くことを心掛けています。 更に、我々はこの思想を社外にも拡げています。未来を創造しようとするクライアント企業に対し、VCN(Value Creation Network)と呼ぶ企業ネットワークを活用してコンサルティングサービスを提供しています。「餅は餅屋」と言いますが、我々は多様なサービスラインを自前化し過ぎることなく、適所適材の発想で、様々な企業や専門家と連携し、最先端の知見を組み合せることを心掛けています。これも協調意識という企業文化のなせる技かもしれません。
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欧州起源、ローランド・ベルガーの独自性

EP6

ローランド・ベルガーが新卒者に期待すること

新卒の皆さんへ期待することを3つお伝えします。 一点目。他者を真似るのでなく、自らの強みを徹底的に磨きたいという思いを持つ人とご一緒したい。そういった強い意志を持って常に前向きに仕事に取り組む姿勢、と言っても良いでしょう。 二点目。我々は一人ではなくチームで仕事をします。チームプレーができることは必須条件です。まず真摯に人の話を聞けるかどうか。これができない人、自分の主張ばかり押し通そうとする人とはご一緒できそうにありません。互いの多様性を認め、協働し、高め合える人だけが、高い価値を提供できるのです。 三点目。クライアント企業の想いに応える、という志を持つ人とご一緒したい。コンサルタントという職種には資格はありません。コンサルタントと名乗れば、今日からコンサルタントです。ただ、1つだけ満たすべき条件があります。クライアント企業がいるということです。患者がいるから医者であるのと同様、クライアント企業がいてこそコンサルタントです。クライアント企業のことを誰よりも真剣に考え、クライアント企業の未来を創る努力を惜しまない人をお待ちしています。

EP7

正解を選ぶのでなく、選んだ道を正解にする

最後に、別の角度から話をします。皆さんにとって重要なことは、VUCAを生き抜く力を身に付けることであり、コンサルティング業界に入社することではないということです。目的と手段を履き違えないようにしましょう。 私は90年代初め、学生はもちろん、社会人すらコンサルティングを見帰したことのない時代にこの業界に飛び込みました。コンサルティング業界に入りたかったからではありません。一人で生き抜く力を身につけたかったからです。今振り返ると、正しい選択だったと思います。コンサルティング業界を選択したことが、ではなく、どうありたいかを考えたことが、です。 就職人気ランキングは忘れましょう。就職氷河期直前、バブル最終入社の私の世代にとって、絶対的人気企業は政府系金融機関の開銀、輸銀、長期信用銀行の興銀、長銀、日債銀、そして都市銀行でした。その後の変遷はご存知の通りです。誤解を恐れずに言えば、コンサルティング業界から内定をもらいたい、という手段だけが先行する人は10年後きっと後悔します。 自分はどうありたいか、クライアント企業の想いに応えたいという強い意志があるのか。自分なりに突き詰めて考えて欲しいのです。もちろん学生ですから、情報量も少なく、考えられることに限界もあるでしょう。私だって、入社してみて初めて分かったことが99.9%。それでも考えて欲しいのです。戦後80年弱、多くの学生が繰り返してきた考えない歴史、人真似の歴史を、皆さんは繰り返さないでください。
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正解を選ぶのでなく、選んだ道を正解にする

EP8

正解を選ぶのでなく、選んだ道を正解にする

Your art is not about how many people like your work. 詩集「ミルクと蜂蜜」からの一節です。何人の人が自分の仕事を好きだと言ってくれているか。そんなことはどうでも良いのです。正解探しはやめましょう。自分が好きかどうかを大切にしてください。これを就職活動の柱に据えてください。 「正解を選ぶのでなく、選んだ道を正解にする」。VUCAの時代を生きる皆さんにとって、これが唯一の生き方なのです。
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正解を選ぶのでなく、選んだ道を正解にする