NRI(経営戦略コンサルティング部門)Project Story 01
「コンサルタント」を続ける理由である、3つの観点
PROFILE
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2008年入社。自動車を中心とした製造業・総合商社を主とした戦略立案を中心に活動。全社戦略・グローバルマーケティング・トランスフォーメーション等が専門領域。近年は戦略にとどまらずクライアントの事業立ち上げにまで従事。

EP1
12年間の「経営コンサルタント」を超えるキャリア
2008年入社で、今12年間程コンサルティングをしております。
現在はグローバル製造業コンサルティング部に所属して、主に製造業や総合商社をクライアントに持っています。
私のキャリアの全体像をお話させて頂き、その後個別のプロジェクトから見えるコンサルティングの面白さや、NRIの良さを最後お話できればと思います。
私のキャリアは、四つに大きく分けられます。
初めの3年間は、主に製造業や総合商社のお客様に対して、コンサルティングをしてきました。前半は上流工程が非常に多く、戦略系プロジェクトが中心でした。
入社2年目の総合商社子会社再編プロジェクトでは、中国·シンガポール·タイ·インドネシア·マレーシア·アメリカ·カナダ·メキシコを先輩コンサルタントと飛び回りながら、商社子会社の拠点に出向き、事業がうまく回っているかどうか、を現場の社員と話ながら、客観的なインサイトを出しました。「メキシコ厳しいです」、「中国伸びてますね」等と話しながら、商社がグローバル全体としてどういうところに注力していくべきなのかを決めるPJに2年目で携わりました。
入社3年時には、初めてのM&A案件。
当時非常にブームだった太陽光発電会社が、アメリカの太陽光発電会社を買収しようとしており、PJではアメリカの会社の企業価値算定等を行いました。
製造業や商社に対して、先輩社員のもとプロジェクトを推進していきました。
4~6年目は、製造業·テクノロジー·総合商社という枠がある意味なくなった3年間でした。
社内で「池幡は戦略系や会社を大きく変えて仕事が得意だから、業種問わずアサインしていく」と、テレビ局の海外展開支援、自動車会社の経営統合、エネルギー関連企業二つの経営統合、化粧品会社改革等、様々なPJをやらせていただきました。
徐々に自分のお客様ができてきた7~10年目で、個人的にはコンサルティングがより楽しくなってきました。
私の場合、特定の自動車会社と特定の総合商社からのリピートが多く、「次のプロジェクトでは別の領域の成長戦略も手伝ってほしい」というような形で、特定の企業から幅広に声がかかるようになり、経営層から現場まで知り合いができ、非常に楽しい状況になりました。お客様と楽しく、会社を変えたり業界を変えたりと、様々なPJでリーダーとしてやらせていただきました。
11年目のタイミングでコンサルティング領域の中で「デジタル」がホットな領域でした。
NRIも例外なく、例えばジョイントベンチャーを作ったり、NRIのデジタル事業を作っていたりと、自分たちのコンサルティング事業を成長させていくことに関与させて頂きました。
この時期、会社からアメリカで二年程MBA留学のチャンスを貰いました。世界中に友達ができ、色々な場所に旅行もさせて貰いました。
コンサルティングに直接的に寄与するだけではなく、人生も非常に豊かになった、という2年間を過ごさせてもらいました。
今はまた日本に帰ってきて製造業のお客様を担当することになりましたが、更にスケールの大きな、社長とのプロジェクトをリードをさせていただいています。
EP2
外資コンサル·投資銀行内定の中で優先した「日本の企業·経済のため」
工学部研究室でプログラムをずっと書いてる大学院時代でした。就職活動は何も分からないような状況で、大学に来たとある米系投資銀行の人がかっこよく、そういう世界を初めて知り、米系の投資銀行を受けました。そこから外資系コンサルティング·外資系消費財メーカーも受け、その中でコンサルティングが面白そうだと思いました。
幸いなことに全て内定いただき、どこに就職するが悩んだ時に、最後は消費財メーカーとNRIとで悩みました。私個人としては、「日本の製造業のグローバルにおける競争力強化していくことで、日本の経済をより豊かなものにしていきたい」ということを大学時代に強く思っていました。それを一番できる場所はどこなんだろうと考えた時に、NRIで間違いないだろう、と思い、NRIに決めました。
EP3
業種軸ではなく、戦略軸からスタートしたキャリア
主に3年目まで、戦略軸の部署にいました。
例えばエレクトロニクス·総合商社·エネルギーを中心に携わっていました。全社戦略や成長戦略系の仕事、グローバル展開、M&Aのプロジェクト等。その後、自分自身の名前が部の中で知られ始め、セルフブランディングができてきました。
業種軸では、
自動車·エレクトロニクス·情報通信等業種のお客様を相手に、主に全社戦略やグローバル戦略の仕事を中心として行ったのが4~6年目でした。
NRIは日本のお客様に非常に幅広くコンタクトポイントがあり、リレーションがあるため、自分がこれをやりたいとか、周りに伝えていくと、わりと叶えてくれる組織です。自分もそのおかげで幅広いお客様とのPJを体験させて貰ったと思っています。
私の場合は、戦略軸が先に立ったことが特徴的です。
ただ自分自身、その特徴に不安な部分もあり、同期を見ると、例えば電力についてはもうピカイチに知ってるとか、業種軸で非常に専門性を持っていました。
7年目~10年目は、自動車や総合商社のお客様から徐々にリピートで仕事が来るようになって、業種軸が強くなり、業界全体もさることながら、その特定企業の事情に詳しくなりました。
例えば自動車では、全社戦略·グローバル戦略·マーケティング戦略·全社トランスフォーメーション。本当にそのお客様の抱えている悩みを全般的に携わる7年目から10年目でした。

業種軸ではなく、戦略軸からスタートしたキャリア
EP4
「コンサルタント」だけでなく「事業家」としてのキャリア
11年目以降は、
NRI自体のビジネスを開拓することに携わり、
NRI×KDDIのビジネスを実際に立ち上げていきました。
KDDIの持っているコネクションと、NRIの持っているケイパビリティーを掛け算して、どういうデジタル事業を立ち上げていくことができるのかを考えました。
まさに、自分たちの事業を作っていきました。
「コンサルタントのキャリア」のデメリットとして、よく「結局、自分事じゃない」とか「第三者だからどこまで関わっても自分で事業できない」という話をよく聞くと思います。
NRIではそうではなく、NRI自体もコンサルティングのビジネスあるいはデジタルのビジネスを今まさに作っている最中です。
まさにこの東京にいるチームがどうやって事業を大きくしていくのか?を最前線で考えていますし、携わっていくビジネスを企画して実行に移していくチャンスが本部の中にはたくさんあります。
私も11年目のタイミングで機会を得て、
「KDDIデジタルデザイン」という事業立ち上げをハンズオンでやっています。
EP5
「ヘッドクオーターが日本」にあるからこそ顧客に支持されるプロジェクト体制
どういうことを実際にやっているのかを肌感を持ってお伝えできればと思うので、プロジェクトの事例をお伝えします。
素材系メーカーの欧州事業の成長に向けた戦略策定·実行支援というプロジェクトを取り上げます。
お客様の売上は数兆円規模、テーマはヨーロッパで成長戦略を描いていくプロジェクトでした。
トータル6ヶ月のプロジェクトで、フェーズとしては3ヶ月戦略策定、次の3ヶ月で戦略を実行に移していきました。
体制は、私がプロジェクトマネージャー、今ニューヨークに駐在している人間がプロジェクトリーダーで、あとはプロジェクトメンバー1名という3人でやりました。
クライアントは日系企業で東京本社だったため、NRIがクライアントの本社と欧州拠点とを一貫したメンバーでサポートすることを意識しました。例えば我々のメンバーも欧州に半常駐し、一緒に戦略を作ったり戦略の実行支援をしたり、一方で東京サイドには、策定した戦略をきちんとレポートしていました。
お客様の部署は、欧州を強化していくために社長の肝いりの新組織で、特にヨーロッパ市場には全く勘所がない状況でした。そのため、コンサルティングファームに事業開発支援を依頼したいというのが今回の背景です。
「いくつかのファームに声かけてます、NRIさんこの領域強いですか」と役員の方に尋ねていたいた際には、我々は非常に自動車業界が強く、日系の企業をたくさんサポートしてきたという実績があります。加えて我々はヨーロッパにも現地パートナーがありますが、東京のコンサルタントが欧州拠点に赴き、そこで戦略策定と実行をしていきます。
加えて、同じメンバーが東京本社に対しても、どういう進捗でどこに課題があるかを本社経営層に伝えます。そのように一気通巻で東京のメンバーでやっていきます、ということをプレゼンの際にアピールしました。
外資系ファームのように、ヨーロッパはヨーロッパの拠点に任せて、東京は東京の拠点でやります、というありがちな分業体制ではなく、我々は東京ベースでやっているからこそ、両方やります、というところをアピールしました。
最終的に、「NRIさんはやっぱりうちの会社をよく分かってくれてるよね」ということと、一気通巻した支援体制、自動車領域での知見の多さを理由に、NRIが選定してもらい、このプロジェクトが始まりました。
具体的なフローは、
お客様の現状を把握することに二週間。お客様のカスタマーにあたる人たちがどういうニーズを持っていて、どういう商流で、どういうビジネスをやっているのかを「見える化」していくというタスクや、お客様の競合はどう戦っているのか等、を検討した上で、本領域のキーサクセスファクター(KFS)は何なのか?を抽出をしていく。次に、どういう事業像になって、どういう戦略でそこのKFSを充足していくのか?というような議論をしました。
EP6
ただの「提案」で終わらない。クライアントを動かす提案に必要なこと
プロジェクトは12週間です。
最終的なプレゼンの中身には、もちろん定量的な部分は必須です。例えば2018年だと自動車市場はこれぐらいの大きさだが、様々な市場変化のドライバーによって2030年にはこういう大きさになっています、といった検討もしました。
特に定量的な分析に関しては、1年目から2年目のメンバーの力も借りながら作っていきました。
また、2020年の事業の規模感を2025年にはここまで持っていきます、その時の拡大の方向性ってこういうものがあるよね、という戦略の方向性を示す資料を作りました。資料を用いながら現場の社員の皆さん、それから経営層に、方向性を意思決定していただきました。
ここまでは、割と教科書に載っていることです。例えば、欧州の自動車領域でどのセグメントの市場が今後伸びるのか? そもそも誰がお客様なのか? 誰と競争しないといけないのか? その競争相手に対してクライアントは勝っていけるのか? どのセグメントにどの順番に入っていくのか?
これらはとても重要ですが、それだけをただ伝えてもお客様は全く動きません。こういった一般的な検討事項に加えて、NRIが考えて考えて考えぬいたことをどう伝えたらクライアントに理解をしてもらえるのか?または誰にまず話を持っていくべきなのか?を考えます。例えば、そもそも欧州拠点だけではこの事業は動かない、とはいえ本社担当レベルだけでも無理だ、では役員に話を持っていかないといけないが、どの役員に持っていくべきだろうか?といった問いです。
そして、その役員にはこの話だけ持っていっても意思決定してもらえないから、その役員が非常に興味を持っていることに関連して話を持っていくと、こういう風に伝えられるだろう、といったことまで考えます。
様々な教科書に載っていること以外に考えないといけないことは膨大にある。インターパーソナルスキルに起因するものも、あればソリューションの幅に起因するものもある。そういうことを総合的に勘案しながら自分たちの提案をできるだけうまく通していく。それがこのコンサルティングの難しさであり、醍醐味の一つなのかなと思います。
PJの途中では「いくらキレイ事を言ってもやり切らないと意味ない。NRIはそこを分かってくれているから良かった」というご評価をいただきました。
またPJが終わったタイミングで、部長クラスの方からは「NRIは本当に厳しいことを言うが、それが良かった。他のファームは、ソリューションありきか、システムありきで押し売りをしてくるが、NRIは本当に必要なことを提案してくれるから非常に安心できる」というお言葉を頂けたりしました。
押し売りしないといけないものが我々にはない、というのがNRIのコンサル文化にあるので、ピュアにクライアントに必要なことを提案していけます。また、それを実現するためにどうすれば良いのかにピュアに頭や体を使うことができるのが、NRIの一つの特徴かと思います。

ただの「提案」で終わらない。クライアントを動かす提案に必要なこと
EP7
「コンサルタント」を続ける理由である、3つの観点
この仕事を何故十二年間やってきたかと言うと大きく三つぐらいの理由があります。
一つはお客様の視点。
お客様に満足してもらえた時に自分が嬉しく思う、またお客様が持続的に成長していくことが自分にとってやりがいとなるからです。
社会の観点では、一個のお客様だけでなく、業界や社会全体に対して大きなインパクトを与えることができることが理由です。また、自分自身が元々持っていた、日本をより強い国にしたいという想いに資する仕事だと思っています。
最後に、自身の観点で、プロジェクト終了後にお客様が喜んでくれて、プロジェクトメンバーで結束が強くなり、みんなで「大変だったけど良かったな」と語る達成感や充実感が得られることも、コンサルを続けてきた理由です。
また特に若手のとき、非常に大きなお客様の経営の意思決定を扱っていくために、お客様の経営層に追いつく必要がある。だから自分自身も成長しないといけないこともあって、当時の成長速度は、今振り返った時にすごい速度で成長していたと思います。
こういった三つの観点で自分自身は非常にコンサルティングに魅力を感じています。

「コンサルタント」を続ける理由である、3つの観点
EP8
「ソリューション」が限定されていないからこそ企業や業界を超えてあるべき姿を創造する
コンサルティングとは、お客様や社会のために尽くす、という仕事です。そういうことが好きな人はこの仕事が向いてると思います。
加えてNRIコンサルティングのいいところは、ソリューションが限定されていないことです。
例えば、絶対にシステムを売らないといけない、絶対にM&Aというプロダクト売らないといけない、絶対この金融商品を売らないといけない、というような「何かの営業」をしないといけないということがまずない。それが極めて良いです。
お客様、この業界に対して何をすれば良いのかをゼロベースで考え、本当に良いと自分が信じることを提案できるのが大きな魅力です。
そこに魅力を感じられる方には、NRIは非常に向いているのかと思います。
また日本を代表するお客様がなかなか答えを出せない問題をパートナーとして一緒に解決していくことができるのも魅力です。
最後になりますが、
この仕事は、時代やお客様より十歩も先に行くと誰もついてこないですが、少し先を歩みながら「ここが落とし所ですよ」という風にナビゲートしていく仕事だと思っています。
そのためにチームメンバーと一緒に、死ぬほど考えたり、死ぬほど世界中を動き回ったりできる方はぜひ一緒にNRIで働けるといいなという風に思います。