NRI(経営戦略コンサルティング部門)Career Story 04
「価値を出し続けるコンサルタント」として、6つの行動規範
PROFILE
株式会社野村総合研究所(NRI) 経営戦略コンサルティング部門
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2014年入社。製造業を主とした経営戦略の立案・実行支援を中心に活動。中長期戦略、将来成長戦略、ビジネスモデル転換、サプライチェーンなどが専門領域。主な著書に『決定版 EVシフト ―100年に一度の大転換』

EP1
NRIが自由だからこその、個人に寄り添うキャリアの考え方
2014年入社で現在八年目です。今はグローバル製造業コンサルティング部に所属しています。
製造業×ストラテジーを追求していく部門で、製造業のクライアントに対して悩みを解決するグループにいます。
1年目は、NRIはローテーションがあるため、ヘルスケアと製造業をローテーションしました。2~4年目は、今と同じ部署で自動車業界を中心に担当していました。
5年目に採用担当をし、6年目に実務に復帰しました。
現在は、大企業の超長期戦略や中長期の戦略を手伝う仕事に従事しています。
大学院の選考は航空宇宙工学専攻でしたが、いつの間にかコンサルになっていました。就活時は、コンサル·商社·メーカーを中心に見ていました。
キャリアについて話す前に、コンサルタントとして大事にしている私の考え方を皆さんに紹介します。
なぜ最初にコンサルとして大事にしていることをお伝えするかというと、ぜひ2つのことを理解して欲しいと思っているからです。
一つは、キャリアは人それぞれだ、ということです。特にNRIは個人の意向によって自分の好きなキャリアを歩みやすいので、そこがまず色濃く出ます。
まず自分の考えを知ってもらい、「だからこのキャリア歩んだのか」と理解して頂けたらと思います。
もう一つが、NRIだとこういう考えを持つことが許される、NRIで働く上ではこういう考え方が大事にできる、ということです。
EP2
「価値を出し続けるコンサルタント」として、6つの行動規範
大きく6つ大事にしていることがあります。
一つ目は「昨日の自分よりも一歩でも二歩でも前進する」。
コンサルタントは、日ごろから最先端のビジネスの接する中で成長していかないとお客様に価値を認めてもらえません。毎日毎日成長していくことが大事だと思います。
二つ目、「機会は自らつかみにいく」。仕事の自由度が高いということは、つかめる機会が均等ではないため、意識してつかみに行くことが大切になります。
三つ目は「受け身にならない」。どんな仕事でもつまらない仕事はなく、自分で面白くしていくという考え方をしています。
四つ目が、「自分の名前で勝負する」。コンサルタントである以上、少数精鋭で戦っていくので、個人として価値を認めてもらえるよう意識しています。そのため、自分の名前で勝負できるように自らを磨いていこうと思っています。
五つ目は、「クライアントを愛する」。お客様のことを好きになって知っていかないと、お客様を動かすことはできないと思います。私が働いていく中で一番大事にしていることです。
最後に、「クライアントが背負っているものを一緒に背負う覚悟で考える」。外部から言うのではなく、自分が社長だったらどうするかを常に考えることはコンサルタントとしてのすごみにつながってくると考えています。
私がこうした考え方をしているという前提でこれからのキャリアストーリーを聞いてもらえたらと思います。

「価値を出し続けるコンサルタント」として、6つの行動規範
EP3
入社直後から「事業戦略策定」「海外本社プレゼン」「経営戦略策定」経験から見えてきたコンサル像
一年目は、正直右も左もわからない状況でした。もともと工学系で経営を全然勉強したこともなく、ずっと力不足を感じながら一年経ったと思っています。
上期は消費者サービス·ヘルスケアコンサルティング部で、ヘルスケア領域の戦略策定に関わっていました。
3つハイライトする点があります。
まず配属一か月で顧客プレゼンに赴きました。NRIは「自分で作った資料は自分で説明する」というのが暗黙のルールになっています。最初先輩社員がインストラクターとしてついてくれて、初めて資料を2枚ほど作りました。
お客様に打ち合わせに行く約一時間前に、「吉竹君が作ったところはもちろん吉竹君が説明するから」と言われ、配属されてすぐお客様の前に立ちました。
二つ目は入社して半年が経った頃に、大手製薬会社の事業戦略の収支計画作りを新人ながらやらせてもらえたことです。お客様とのミーティングの中で議論しながら、最終的にこの事業戦略を実行したときにどのくらいの収益になるのかを詳細に検討する。そんな経験をできました。
三つ目、マインドセットを叩き込まれました。当時の先輩が、常に自分に機会を与えてくれました。様々なスキルを教えてもらえましたが、「ホワイトボードの前にとにかく立て」や「常にスタンスをとりなさい」といった、コンサルタントとしての基本の心構え·考え続けることを習慣づけられました。11月に人手が足りず、誰も手を上げないプロジェクトがあり、良い機会だと思い手を上げたらやらせてくれました。そのため、そのプロジェクトではほぼ一人で企画の段階から実際にプロジェクトを遂行するところまで携わり、一人で全部やり切れました。
かつその会社は外資系メーカーの日本オフィスのため、海外のオフィスまでプレゼンに行けたことは本当にいい経験を詰めたと思っています。
これを一人で回せたことで、評価をされ、周りに声かけてもらえるようになったことも良い思い出です。

入社直後から「事業戦略策定」「海外本社プレゼン」「経営戦略策定」経験から見えてきたコンサル像
EP4
世界水準、日本を代表する企業・業界の「正解のない問い・経営戦略策定」に挑み続けた2年目
2年目に、とても尊敬できる先輩と一緒にやらせてもらったプロジェクトについてお話します。
日本を代表する自動車メーカーのプロジェクトで、自動運転·電気自動車などの大きな変革が来ている中で、将来のグループ再編を考えるという、大きな戦略策定の案件でした。
産業構造がどう変化していくのか、どうしたら自社が持続的に勝ち続けられるのか、を一緒に考えるという5か月のプロジェクトで、お客様と合宿等をしながら検討していました。
この案件を選んだ理由は、大きく4つ良いことがあったからです。
一つは日本を代表する企業の将来戦略を考えられたということ。
国や産業といった言葉が議論の中で平気で出てきて、国レベルの案件ができたことは、非常に面白かったと思うポイントです。
二つ目は、世の中が考えたことない今後の産業構造を考え、その中でどう勝っていくかという解がない論点について検討できたこと。誰も解を持っていない中で、お客様と膝を突き合わせて議論しながら答えを作っていく。本当に大変な時もありましたが、その大変さを乗り越えて答えが見えた時の嬉しさや達成感は、このプロジェクトで経験できて良かったと思えました。
三つ目がお客様からのNRIへの期待感の大きさです。
プロジェクト終わった後に、打ち上げの宴会に行きました。自動車メーカーの経営層が、「我々は日本を代表する自動車メーカーで、グローバルで数百万人の雇用を支えています。NRIは日本を代表する経営戦略コンサルティングファームだと思っています。この二社で作った戦略はこれからの日本を作っていく戦略です」と仰っていて、「ああ、それだけの期待を背負って仕事が出来ているんだ、お客様からの想いはそれだけ熱いものなんだ」と思い、コンサルやっていて本当に良かったと思えた瞬間でした。
四点目が、優秀なプロジェクトリーダーと一緒にできたこと。彼は自分では及ばない点が多すぎた先輩でした。こういう先輩が近くにいたことは、将来の成長の幅を決める意味でもとても良かったです。このプロジェクトを経験した後、その先輩と他の案件もやらせてもらって学ばせてもらったということがあり、自分のコンサルとしてのキャリアが開けたと思っています。
EP5
「失敗を成長の糧に」が根付く文化だからこその能力の限界へのチャレンジ
2~3年目は、まだ失敗も多かったです。
初めてプロジェクトリーダーに挑戦したのが二年目の終わりで、その時は比較的うまくいき、「今後もプロジェクトリーダーできるなあ」と思い、3年目に大型プロジェクトのリーダーに取り組みました。
ただ、お客様の意思決定や、お客様の真の課題を突き詰めることができず、毎回のミーティングのアジェンダもあいまいになったりしました。
プロジェクトマネージャーからは、
「色々と反省点もあるけど良いところもあった、失敗はなかなかつめない良い経験だからこれを糧に次失敗しないように。大事なのは、今折れずにその経験を次に活かせるかどうかだ」と言われ、涙が出てくるくらい悔しく、また先輩の想いに感動しました。その時に貰ったWordで4ページくらいのフィードバックメモはその後ずっと見返すようにしていました。
3年目は、自分で提案をお客様に持っていくことが面白いと思い、自動車メーカーや自動車部品メーカーに企画書を書いて先輩と一緒に提案していました。
何本かは取れましたが、やはり落とすことも多くて、競合に負けて取れないことも多くありました。上滑りしてるときもありましたが、やはりお客様の理解が足りていないことが自分の反省点として大きくありました。お客様をもっと見て大事にしていくことが大切だと考えた2、3年目でした。
振り返ってみると、総じて失敗は多かったとは思いますが、面白かったし学びも大きかったと思います。もちろん失敗したら落ち込みますが、失敗に関して、会社は比較的寛容でした。
当然失敗したら怒られ鋭い突込みは入りますが、次頑張れば良いというフォローや財産と思えるフィードバックがありました。
EP6
「経営戦略コンサルタント」として自立した4年目以降
4年目は自分にとっての飛躍の年でした。
様々な活動が実り、自動車周辺の事業戦略であれば、提案からプロジェクトリーダーまで一人で回せるようになってきた年でした。
蓄積した知見を、書籍やレポートで出し、企業に行って講演することで、自分のファンができる。その縁からご相談がきてプロジェクトになって、継続して、他の案件を受ける。そうしてどんどんループが回った良い年だったと思っています。
この経験は自分の中だと成功経験でした。自動車業界だったらこんな感じでできたな、というように、様々な産業や事業テーマに挑み、その後レポートやパッケージを作って新たなお客様を開拓していく、ということを引き続きやっています。
EP7
5年半で70本のプロジェクト経験・650本以上の戦略提案
5、6年目は採用担当でした。
7年目に様々な製造業のお客様の仕事をやってみようと思い、広げてみました。
幅広い業種のお客様相手に、中長期戦略策定からビジネスモデル改革、新規事業など幅広くやらせてもらえました。
いくつか選んでお伝えすると、食品メーカーの2050年に向けた超長期の戦略策定、今SDGsやサステナビリティなど様々なことが提唱されている中で、社会の変化から今のうちからどう動いていかないといけないかを社長直下で考える案件など。また、ある総合電機メーカーではスマートシティをやりたいというお話があり、ASEANの都市で新しいスマートシティを作っていく際のコンセプトやビジネスモデル、どうやって儲けるかといった検討までやらせてもらいました。
最後は、ある日本の古い機械メーカーで、事業をいかにV字回復させるか。新しい力を伸ばしていく、ということで、各部署のエース社員を集めてもらい、若手のエース社員と一体となって戦略を考えました。お客様の顧客先に一緒に行って、お客様の課題を把握するなど、チーム一丸となったプロジェクトでした。
こういう例は、NRIらしいプロジェクトだと思っています。
将来シナリオや長期ビジョンを作ることは、NRIの企業理念である未来創発らしい。
電機メーカーのスマートシティプロジェクトでは、インフラやサービス、ヘルスケア、モビリティ等のテーマがあり、そういった領域横断の検討はとてもNRIらしいと思っています。
自分が今までどれくらいプロジェクトやってきたのかを数えると、採用担当期間を除くと、大体5年半位で、プロジェクトは約70本やっています。
営業回数で行くと650本くらいやっています。
これもとてもNRIらしい数字で、一年目だろうが二年目だろうがどんどんお客様の前に立てる、営業やろうと思えば営業やれる、という環境だったからこそ、これだけの本数をやってこれたと思います。
単純に数が多ければ良いというわけではないですが、数をこなすと自信につながるしそれだけ自分の反省点も見えたので、非常にこの7年間は濃厚な時期だったと思います。

5年半で70本のプロジェクト経験・650本以上の戦略提案
EP8
まとめとして
一つは自分のキャリアの専門性のみがき方です。これまで縦と横を使い分けて成長してきました。
まず、インダストリーを絞る。例えば自動車業界に絞る。
自動車のナレッジを一度蓄積しておくと、案件ごとにずっと持ち続けられるので、あまり知識を広げる必要はないです。
自動車と領域を決めると、自動車メーカーの経営戦略、事業戦略、ビジネスモデル変革、M&A、実行支援と経営に対するナレッジが溜まっていく。
その中で、面白そうなテーマ、特に事業戦略や経営戦略のナレッジを蓄積したら、それを軸に今度は横に色々な業界に展開してく。
例えば私の場合はエレクトロニクスだとか産業機械とか。
横に展開していく中で、その業界が面白そうだ、変化が大きそうだと思ったら、今度はその業界に絞ってまた同じように縦に業界で絞っていく。
またその中でM&Aが面白そうだと思ったらM&Aの領域で横に広げていけば良いという形で。
私の場合は、自分が何したいのかを半年ごとに決めて、方向性を決めて、広げていったという形になります。
この設計の自由度は、非常に高いし、人それぞれやりたいようにやれるというのは、NRIの良いところかなと思っています。

まとめとして
EP9
まとめとして
もう一つは役割·できることの拡大。
プロジェクトリーダーと営業はコンサルタントとしてやっていくならなるべく早く経験するべきだと思っています。
目線が全然変わるのと、自分がどんどん矢面に立てるので、お客様と直接対峙している使命感が得られますし、その場その場で考えていく力の磨かれ方も全然違います。
営業をリードする役割も早めに経験するに越したことはないと思っています。
もちろん最初はうまくできないですが、経営層としてどういうことを考えないといけないかも見えてきますし、コンサルタントとしてのレベルもどんどん上がると思っています。
特に若手のうちは、一番下のメンバーになりがちで、プロジェクト内で引出された課題やイシューに対して、リサーチや分析をして資料を作っていく。その次にプレゼンして議論を回していくことがメインの役割になっていきますが、NRIの場合だと、比較的早くプロジェクトリーダーや営業に関われる。そこで何をするかというと、お客様のイシューの掘り出し、要はこの業界のお客様は、今後こういう所に悩んでくる、と自分なりに考えて、お客様に仮説をぶつけていく。
こういうことを早めに経験できるに越したことはないと思っています。
あとは、プロジェクトリーダーをするにしてもお客様のイシューが分かったらどんな戦略ストーリーで答えていくのかを設計していく。ここは、リーダーが違えば結論もまったく変わってきます。コンサルタントの醍醐味は自分の流儀に沿ってストーリーを描けること。
非常にオリジナリティを出せるし面白いと思っています。
就職活動に通じ、かつコンサルティングも通じる話かと思いますが、これからの皆さんの人生は選択肢が非常に多いと思います。
コンサルタントは常にどの案件に入るのかという選択肢が非常に多い。
その中でどれかを選んでいかなくてはならない。会社にもよるかもしれないですが、NRIの場合だと自分で選んでいく。
正解を選ぶことに固執しすぎると、そのために時間を使ってしまい、機会損失にもつながります。
そのため、選んだ選択肢を正解にしていく気概とか、わくわく感が個人的にはすごい大事なことだと思っています。
何が正解かを考え続けるよりも、どれを正解にしたいかという感覚も大事にしたら、後悔したくないという思いで選択を正解にしていけると思っています。そういう頭の使い方が場面によっては必要だとキャリアを通して思っています。
これをなぜ伝えたかというと、就職活動も同じだと思っているからです。
要するに、選択肢は無数にあるし、どれが正解か、自分の事も100パーセント分かっているわけではないですし、仕事のことも100パーセント分かるわけではない中で選んでいかなくてはならない。
何が正解かを追い求める、そしてその答えを他人に求めるのではなく、自分がどの選択肢を正解にしたいか、という内なる声に耳を傾けていくべきだと思います。
これは正解の選択肢を作っていくという意味でも非常に大事な考え方だと思っています。
本当に最後に伝えたいことですが、コンサルタントという仕事は個人的には楽しい仕事です。とても面白い仕事ですし、今後も自分のライフワークとしてずっとやっていきたいと思っています。
コンサルタントはビジネス界のアスリートかなと私は思っています。
どういうことかというと、何か一つの歯車として生きていくというよりも、常に自分をアップデートし続ける必要がある。お客様の期待値を超え続ける仕事だと思っています。かつ、決められた道がない。
ホームランバッターになってもいいし、安打製造機になってもいいし、守備職人になってもいい。色々なパスが用意されているなかで、自分がどういう道を極めたいかを選べる仕事だと思っています。プロフェッショナルとして自分の道を追求して切り開いていくような仕事だと思っています。
野球選手のイチローの引退会見で私が一番心に残っているのは、
「あくまで秤は自分の中にあって、自分なりに秤を使って限界を見ながら、ちょっと超えていく、ということを繰り返していく。だから少しずつの積み重ねでしか自分を超えていけない」という言葉です。
誰かと比べて自分が優れている/優れていない、ということではなく、自分がどういう経営戦略コンサルタントになりたいのかを常に意識しながらその道を極めていく。
それはもしかしたら経営のテーマが重要かもしれないし、業界かもしれないし、コンサルティングのスタイルかもしれない。
そうやって常に自分の理想を描きながら毎日もがいていく仕事です。産みの苦しみは常にある仕事ですが、それを楽しめる、考え
続けることに対して面白いと思える、または難しい課題を解くことに面白いと思える人は、コンサルタントに向いていると思います。また、そういう道もありだなと思う方にはまずインターンに来てもらうと良いと思っています。
いずれにせよ、NRIを選んだことは私にとって後悔のない仕事選びだったと思っていますし、皆さんにもぜひ興味を持ってもらえたら嬉しいです。

まとめとして