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NRI(経営戦略コンサルティング部門)Project Story 02

本当に「使われる」ためにエンドユーザーや社内へのコンサルティング活動

PROFILE
株式会社野村総合研究所(NRI) ​経営戦略コンサルティング部門

M S

2015年入社。全社・事業・グループ経営戦略からマーケティング戦略まで幅広く経験したのち、伴走型実行支援のプロジェクトを軸として活躍。近年はDX領域のプロジェクトにも参画。共同著書に「ニューノーマルカンパニー ~変革永続力の経営~」など。
NRI(経営戦略コンサルティング部門)Project Story 02

目次

EP1

戦略だけでなく、顧客の想いを実現する伴走型実行支援でのキャリア 〜コンサルでよく言われる「机上の空論」にならないために重要なこと〜

コンサルの戦略は絵に書いた餅が多いとよく言われます。我々自身も最終提案の際にお客様から「きれいな絵を描くのではなく、我々がきちんと実行できなければ意味がない。実行できる提案をしてほしい」とよく念押しされます。今回は提案が絵に書いた餅にならないためにどうすればいいかをお話します。 私は2015年入社で今7年目です。2~5年目はコーポレートイノベーションコンサルティング部で、会社変革に携わるテーマで、戦略策定から実行支援を軸としたコンサルティングをしておりました。本日はプロジェクト事例として、3年目の飲食業マーケティング構想策定とスマホアプリ構築についてご説明します。 現在は2020年4月から事業DXコンサルティング部にいます。企業から「デジタルを用いて会社を変えられないか・新しいことができないか」というご相談も多く、それに合わせてどういうことができるのか検討をし、事業の構想策定・実行支援をしています。『ニューノーマルカンパニー』を2021年10月に出版していますので興味があれば読んで頂ければと思います。 私のキャリアはどちらかというと扱ったテーマに特徴が出ています。全社戦略や事業戦略、グループ経営戦略、あとマーケティング戦略。全社の構造改革をテーマに、構想を作った後、一緒に実行していくという伴走型案件が多かったです。 戦略を描くだけならきれいに描けますが、それをきちんと食べられるお餅にしていくというのが伴走型実行支援です。もちろんNRIは戦略コンサルティングからシンクタンクまで、幅広くコンサルしていることが特徴ですが、今回は伴走型支援の実体験をお話します。 お伝えしたいことは大きく三つあります。 1つ目は、机上の空論ではなく確かな形を作っていくコンサルの面白さ。2つ目は、年齢に関係なくプロジェクトを任されるNRIの風土。3つ目は、幅広いプロジェクトに従事したからこそ身につく知識や経験です。
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戦略だけでなく、顧客の想いを実現する伴走型実行支援でのキャリア 〜コンサルでよく言われる「机上の空論」にならないために重要なこと〜

EP2

3年目一人で挑んだ顧客ロイヤリティ向上施策プロジェクト

サッポロホールディングス社のプロジェクトをご紹介します。エビスビールや黒ラベルを作っているサッポロホールディングス社は、顧客ロイヤリティ施策上の課題を感じていました。顧客ロイヤリティ施策は、自社の商品を使っているか、サービスを利用しているお客様により会社のファンになってもらう、より愛着を持ってもらうための施策です。 プロジェクト最初の2ヶ月間でどういう風にすれば良いか構想を策定し、その後6ヶ月間で実行支援していく全部で8か月のプロジェクトでした。 方針策定フェーズでは、今の課題は何なのか、どういうお客様の体験を実現したいのか、あるべき姿をまとめていきました。またその具体的な実現策も考えていました。 その施策を本当に動くものにするために、次のフェーズでは新しいロイヤリティプログラムの要件や機能洗い出し、必要業務を考えました。コンサルタントである私はどういう業務が必要なのか設計し、現場の人に理解し使ってもらうための教育を考え、エンドユーザーの方にアプリの良さを伝えるためのプロモーションを検討しました。全てお客様と伴走しながら推進していきました。 コンサルタントは私一人の体制でした。最初からスマホアプリを作るという仮説のもと、ITソリューション部門にも協力してもらい、アプリ開発時には協力会社にも入っていただきました。お客様にはもともと、食事のお会計時にポイントカードを渡すと10%のポイントが付く既存制度がありましたが、それに課題を感じていました。ポイントをつけとけば良いという安易な考えで、どのお客様に本当に来てほしいのか、どんな行動を促したいのかが決まっていなかった点は大きな課題です。 また日本は基本的にグループ会計が多く、グループで食べに行き最後の一人が会計して、その方がポイントカードを出してポイントをもらえるのが一般的です。既存のポイントカードは幹事にだけポイントが貯まる仕組みで他の方にはベネフィットを還元できていなかったことも課題でした。お客様にもう一回来ていただくには?もっと回数高く来ていただくには?というアプローチができていなかったことも課題です。また、各お客様が何を頼んでいるのか等の情報が全く取れていないことも課題感としてありました。四人で来ても、ファミリーなのか、友達同士なのか、女子会なのかが分からない。 これを解決するために、ロイヤリティ顧客を定義した後、購買データ取得のために、サッポロホールディングス社としてどういう顧客体験を理想とするのか、どういう行動を促したいのかを考えて、それを実現していくような新ロイヤリティプログラムを実装しました。ポイントカードだと支払いの人だけ受け取るので、それ以外のお客様にも対象とできるような全顧客を対象にしました。 ポイントで10%一律還元ではなく、よりたくさん来訪するお客様や、よりビールをたくさん飲んでくださるお客様を「いいお客様」と定義付け、その行動をする人にベネフィットを与えてロイヤリティを高めていく施策を考えました。 購買行動データ取得が大きな目的でした。幹事の情報だけでなく、グループの個々人がそれぞれどんな行動をしているのか、どういう趣味・嗜好で何を頼んでいるのか、そんなデータを取ります。そして例えば三十代女性はホワイトビールが結構好きそう、といった分析をし、ビール事業のマーケティングにも活かすことを念頭に置いてこの方針を策定していきました。 現状の経営課題と課題を解決する戦略、そして具体策としてスマホアプリを活用したロイヤリティ施策の構想を経営層に提案しました。 施策をイメージしてもらうために具体的なお話をすると、エビスバーで食事頂いた方用のアプリです。利用者がアプリをダウンロードし、飲んだビールの電子スタンプを押してもらうことで、ポイントが溜まってステータスが上がる。企業側に何を何杯飲んでいるか分かるようなマーケティングをしています。 集めたスタンプの数に応じて、特典も変えています。ビールをよく買う方には家でもビールを楽しめるようなグッズを渡し、おつまみをたくさん頼む方にはおつまみを提供します。 戦略策定後、どのような具体的施策を実行するか経営層に意思決定をしてもらうまでが方針策定フェーズです。実際にアプリを作っていない段階で「こんなものが作れます」とお伝えします。 ここまではいわゆるコンサルティングファームの支援として想像しやすいと思います。これ以降がお客様と一緒に伴走していく実行支援のフェーズです。

EP3

本当に「使われる」ためにエンドユーザーや社内へのコンサルティング活動

先ほどのアプリは複雑な分析アプリではないですが、本当に細かい検討項目があります。 どのビールに対してスタンプを貯められるか、お客様の情報をどこまで取るか、細かい点ではパスワードのセキュリティーポリシーをどうするかなど。1個のアプリを作るために決めなくてはいけないことは非常に多いです。それを決めるため、お客様と毎日のように細かい議論を積み重ねていくのが実行支援の仕事です。課題を文字面だけで議論をしていくことも必要ですが、それだけだとお客様もイメージがだんだん湧かなくなってきます。 どういうアプリなら本当にお客様に使ってもらえるのか、使いやすいのかを考えるためにパワーポイントで画面遷移図やイメージ図まで作りました。お客様の行動をこう促したいので、ここにこんなイラストがあり、こういう画面遷移が良い、といった風にお客様と一個一個合意していきます。実際のアプリを作る前にプロトタイプを作りながらお客様と認識合わせをしていきました。 それが終わってIT部隊がアプリを作っている間、コンサルはできあがるのを待てば良いかというとそうではありません。アプリだけでは現場は動かないため、クライアント業務をきちんと理解した上で、新アプリをどの業務に組み込めるか、今の業務に支障は出ないかを確認していきます。実際の店舗で業務されている方を見て「今のここでこういうスタンプを押したいんですけどできますか」と社員の方に検証してもらうような実証実験も行いました。 どんなチラシを作るかまで考えました。最終的にはデザイン会社の方にきれいに整形してもらいましたが、私が作ったチラシが店頭に並びました。伝えたい要素は何か、アピールポイントはどこかをお客様と検討しながら作っていきました。 ここまで行くとコンサルなのか広告代理店の一部なのか分からないほどですが、お客様が戦略を完遂するために必要なことなら何でも一緒に進めていきました。 あとはウェブサイトの準備です。よくある質問リストを作ったり、使い方を魅力的に見せるために紹介動画を作ったりしました。 紹介動画は実は私も出演していて、メインのモデルの方以外はお客様の社員の方だったという裏話もあります(笑)。 最終的にアプリができあがり、ニュースリリースや日経MJに取り上げられていただきました。アメリカの権威あるカスタマーアワードでプラチナ賞を受賞したのも嬉しかったです。 一番嬉しいと思ったのは、お客様から「社員以上に社員になってくれてありがとう」というお言葉をいただいた時でした。本当に机上の空論ではないお手伝いができた、きちんと形に残る実行支援ができた、と実感しました。
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本当に「使われる」ためにエンドユーザーや社内へのコンサルティング活動

EP4

顧客から支持されるテーラーメイドを実現する文化と組織

なぜNRIが顧客から選ばれるのか? プロジェクト開始時に、お客様の役員からは「元々NRIの経営戦略コンサルティング部門が戦略策定や実行支援に強いのは分かっていました。かつ今回は具体策としてスマホを使いそうなので、デジタルに強いIT部隊がきちんとチームに入って一気通貫で支援してくれることに安心しました。またそういった実行支援の実績が多かったのも良かったです」と言われました。 実際、最初から一気通貫して支援したから8か月という短い期間でアプリもローンチできました。また、プロジェクト終了時にも「コンサルはよくフレームワークを押し付けてくるがNRIは違った。業務もしっかり分かった上で我々に寄り添った提案をしてくれて良かった。弊社は意思決定プロセスが複雑で様々な事業を持っているので、このアプリだけではなく、事業部間の調整も多く必要でしたが、それも分かった上で実行支援してくれたのが良かった」というお言葉をいただいています。 NRIは「テーラーメイド」をとても大事にしていて、フレームワークをただ当てはめるのではなく、お客様に寄り添った提案ができることが強みです。お客様からも、NRIはきちんと寄り添って実行支援までやってくれる、実際に動かしてくれるファームだと認識されているので、他ファームではなくNRIが選ばれているのでしょう。
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顧客から支持されるテーラーメイドを実現する文化と組織

EP5

まとめとして

どのファームも戦略を描くことはできます。ただきれいな絵を書いておしまいではなく、それをどうやって実現していくのかを考える、業務に入り込んだコンサルティングが私はとても面白いなと思いますし、NRIでのユニークな働きがいに繋がっていると思います。 あくまでコンサルタントはサポーターであり、他社貢献が本質的なやりがいだと思っていますが、お客様の一員に近い立場でご支援してプレイヤーに近い役割で働けるのは実行支援プロジェクトの面白い点です。 かつ成長にも繋がるはずです。きちんと業務内容や意思決定の仕組みまで分かった上で、戦略を提案するのはお客様を動かすために本当に大事なことです。経営者の方も「提案のロジックは分かったが、本当に実現できるのか」とよく悩んでいます。そんな経営者の悩みまで解決できるスキルセットが身につけられます。 また、業務の詳細が分かってるからこそ、似たようなプロジェクトがあった際には異なる業界でも詳細な提案ができますし、親身になって相談に乗れます。 NRIの年齢に関係なくプロジェクトを任せられる風土も改めて伝えます。先程の案件では私が3年目の時に、コンサル側は一人で頑張ってこい、と送り出されました。最初は何をすれば良いかも分からなかったですが、お客様と議論しながら「これをしなきゃいけないな、こういうことをやってみよう」と自分の頭で考えて挑戦していきました。それを応援する、許してくれる、そういう風土がNRIにはあります。 最後に、各々の意欲に沿った挑戦ができるNRIの幅広さをお伝えします。日本最大級のファームであるNRIではお客様の業界も幅広く、戦略策定から実行支援まで扱うテーマも本当に幅広いので、手を挙げれば自分がしたいことに何でも挑戦できる自由さがあると思います。